ストラトスを探していたはずなのに、なぜかタイレルが2台になりそうな話

タミヤ ITEM 49154 タイレルP34 シックスホイーラー初回復刻版の箱全体

ラジコンを再開してから、どうも予定どおりに物事が進みません。

今回もそうでした。そもそもの始まりは、ランチア・ストラトスが欲しいという話だったんです。

今持っているTT-02のランチア・デルタを、もっと実車ラリーカーらしく走らせたい。そうなると、短いホイールベースと独特のウェッジシェイプを持つストラトスも気になります。中古市場や海外通販を眺めながら、「いつかラジコンで走らせたいなあ」と考えていました。

用語メモ:ホイールベース=前輪と後輪の車軸間の距離。短いほど一般に小回りしやすく、動きも機敏になります。ウェッジシェイプ=前方が低く、後方へ向かって高くなる「くさび形」の車体形状です。

ところが現在、我が家にはタイレルP34の未組立キットがあります。

しかも、もう1台増える可能性まで出てきました。

どうしてこうなった。

きっかけは、1977年当時物のタイレルP34

ストラトスを探している途中で、偶然見つけたのがタミヤの古いタイレルP34でした。1977年発売の、いわゆる当時物です。

用語メモ:当時物=最初の発売当時に製造・販売されたオリジナル品。復刻版=過去のモデルを、後年に再発売したものです。

写真を見た瞬間、「ああ、やっぱり格好いい」と思ってしまいました。

小さな前輪が4つ。後ろには巨大なリアタイヤ。低いノーズに青いボディ。今見ても、まったく普通ではありません。

1976年ドイツGPのニュルブルクリンクを走るジョディ・シェクターの3号車タイレルP34
1976年ドイツGP、ニュルブルクリンクを走るジョディ・シェクターのタイレルP34。写真:Lothar Spurzem / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 DE(変更なし)

前輪を4つにするという途方もない発想を、本当にF1へ持ち込んだマシン。レーシングカーとしての成績とは別に、約50年たった今も、名前を聞くだけで6輪の姿が浮かびます。完全に「記憶に勝ったクルマ」だと思います。

そして僕の中では、今でも絶対に「ティレル」ではありません。

タイレルです。

「復刻版ってあるの?」から始まった

当時物を眺めながら、ふと思いました。

「これ、復刻版ってないのかな?」

調べてみると、ありました。しかも一種類ではありません。

その中で見つけたのが、2000年発売の初回復刻版、タミヤ ITEM 49154 タイレルP34 シックスホイーラーです。1977年型のフルカウル姿を残しながら、中身はF103系をベースにした、ちゃんと走らせられる6輪シャーシ。

用語メモ:フルカウル=車体や機械部分を広く覆うボディ形状。F103系=タミヤの後輪駆動オンロードRCで使われたシャーシ設計の系統です。

「前の4輪は全部曲がるの?」「サスペンションはあるの?」と調べているうちに、気持ちはいつの間にか「これは走らせてみたい」へ変わっていました。

そして、未組立のITEM 49154を発見

すると今度は、中古市場にITEM 49154の未組立品が出てきました。しかもベアリングセット付き。ボディ、タイヤ、デカールの状態もよさそうで、スポーツチューンモーターまで入っています。

  • 出品価格:26,000円
  • クーポン適用:−1,000円
  • PayPayポイント利用:−751pt
  • カード支払額:24,249円

ここまで調べてしまうと危険です。「復刻版ってあるの?」だったはずなのに、「ゴムタイヤはまだ使える?」「スポンジタイヤに換装できる?」「サーボは何を使う?」「ESCはHobbywing 1060でいける?」と、完全に買った後の話をしていました。

用語メモ:サーボ=送信機の操作に合わせて前輪を動かす装置。ESC=モーターの回転数と前進・後退を電子制御する装置。「メカ」は、受信機・サーボ・ESCなど走行に必要な電子機器の総称です。

そして、買いました。

玄関先に届いたタミヤ タイレルP34 ITEM 49154の配送箱
ストラトスを探していたはずなのに、玄関へ届いたのは6輪でした。
タミヤ ITEM 49154 タイレルP34 シックスホイーラー初回復刻版の箱全体
26年前の初回復刻版。箱の時点ですでに、とてつもないオーラがあります。
タミヤ ITEM 49154 タイレルP34 シックスホイーラー初回復刻版の箱絵を近くから撮った写真
箱を開ける前から、タイレルP34の存在感にやられます。

箱を開けたら、26年前とは思えない状態だった

届いた箱を開けてみると、想像していた以上にきれいでした。青と白のボディに目立つ黄ばみはなく、シャーシプレートにも写真で分かるようなサビや腐食は見当たりません。

未組立のタミヤ タイレルP34 ITEM 49154を開封した直後の内容物
箱を開けた瞬間。青と白のボディや未組立のパーツが26年前のまま残っていました。
タミヤ タイレルP34 ITEM 49154の樹脂パーツとシャーシプレートを広げた状態
袋に入った樹脂パーツとシャーシプレートを展開。状態を一つずつ確認します。

RS-540スポーツチューンモーター、T053ベアリングセット、1700MP Ni-Cdバッテリーと専用充電器、純正ゴムタイヤまでそろっています。古いキットを開けたというより、時間ごと箱に残っていたような感覚でした。

用語メモ:RS-540=RCカーで広く使われるモーターの代表的なサイズ。スポーツチューンは標準型より高回転・高出力寄りです。ベアリング=車軸やギヤの回転抵抗を減らす部品。Ni-Cd=ニッケル・カドミウム充電池です。

ITEM 49154に付属するRS-540スポーツチューンモーターとT053ベアリングセット
付属のRS-540スポーツチューンと、うれしいT053ベアリングセット付き。
ITEM 49154の青白ボディとタミヤ1700MP Ni-Cdバッテリー
青と白のボディは驚くほどきれい。1700MP Ni-Cdは当時物として保存します。

「メカレスって何?」と聞いていた人間が

ラジコンを再開したばかりの頃、P34の出品を見ながら、「メカなしって何? これ、どうすれば走れるの?」と聞いていたことがあります。

それが今では、「Turbo Racingの受信機が余っている」「Hobbywing 1060もある」「サーボは手持ちのタミヤTSU-06が使えそう」と言っています。人間、数か月で変わるものです(笑)。

しかもITEM 49154の説明書を見ると、サーボの固定方法は、まさかの両面テープ。

そうそう。昔のラジコンってこれでした。2000年の復刻版でも、そこだけ妙に懐かしい。こういう細部までたまりません。

純正ゴムタイヤは保存、実走はスポンジタイヤ

キットには、当時の雰囲気を残す純正ゴムタイヤが付いています。ただし、これももう26年前のもの。せっかくきれいに残っているオリジナルを、舗装路で削ってしまうのはもったいない。

そこで実走用に、現行のスポンジタイヤと専用ホイールを購入しました。

用語メモ:スポンジタイヤ=発泡素材でできた走行用タイヤ。路面への追従性とグリップに優れる一方、走るほど摩耗します。

  • 純正ゴムタイヤ=保存用
  • スポンジタイヤ=走行用

古いRCをただ飾っておくのではなく、オリジナルの部品を残しながら、本当に走らせる。今の僕には、この楽しみ方がいちばん合っている気がします。

ところが、シェクター車ではなかった

ここで重大な問題に気づきました。僕はジョディ・シェクターが好きです。ところが今回買った1977年仕様は、シェクターのP34ではありません。

シェクターがP34をドライブしたのは1976年。そして1976年日本GP仕様が、これまたとんでもなく格好いい。

青いボディ、むき出しのエンジン、3号車。そして車体には「たいれる」。さらに「しぇくたぁ」。

こんなの反則でしょう。

気づけば、2台目の原価計算までしていた

さらに中古市場で、1976年日本GP仕様の完成済みポリカボディ(軽くて割れにくい、透明なポリカーボネート樹脂製ボディ)を発見しました。シェクターの3号車で、「たいれる」も「しぇくたぁ」も入っています。

別の出品には、後年型のP34用F103 Sixシャーシが12,800円。つまり、シャーシと日本GPボディを別々に買えば、プレミア価格になった日本GP仕様のキット一式より安く仕上がる可能性がある。

……というところまで計算してしまいました。

昨日、「あかん! とりあえず今買ったタイレルを走らせてからだ!」と言ったばかりなのに。

ストラトスはどこへ行った

ここで最初に戻ります。僕は何を探していたんでしたっけ。

そうです。ランチア・ストラトスです。

  1. ストラトスを探す
  2. タイレルP34の当時物を見る
  3. 復刻版を調べる
  4. ITEM 49154を買う
  5. スポンジタイヤを買う
  6. メカ構成を考える
  7. シェクターが好きだったことを思い出す
  8. 1976年日本GP仕様を調べる
  9. 2台目のタイレルの原価計算を始める

ストラトス、完全に6輪に轢かれました。

でも、こういう脱線が楽しい

合理的に考えれば、欲しいものを決めて、必要なものだけ買えばいい。でも趣味って、たぶんそういうものではないんですよね。

調べている途中で昔の記憶がよみがえる。知らなかったものを見つける。「これ何だろう?」と調べる。そこからまた別のものが気になって、最初の予定とはまったく違うところへ行ってしまう。

でも、それがものすごく楽しい。

大人になると、仕事でも家庭でも、予定どおりに進めることを求められる場面が増えます。だからこそ趣味くらい、予定外の方向へ全力で脱線してもいい。

ストラトスを探していたのに、タイレルP34を買ってしまった。そして下手をすると、もう1台タイレルが増えるかもしれない。

ただし、まずは届いたITEM 49154を完成させます。そして6輪が本当に曲がり、走る姿を自分の目で見る。次回は組み立てから実走まで、きちんと記録するつもりです。

……1976年日本GPボディのオークションが終わるまでは、なるべく見ないようにしながら。

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