ラジコンを再開してから、どうも予定どおりに物事が進みません。
今回もそうでした。そもそもの始まりは、ランチア・ストラトスが欲しいという話だったんです。
今持っているTT-02のランチア・デルタを、もっと実車ラリーカーらしく走らせたい。そうなると、短いホイールベースと独特のウェッジシェイプを持つストラトスも気になります。中古市場や海外通販を眺めながら、「いつかラジコンで走らせたいなあ」と考えていました。
用語メモ:ホイールベース=前輪と後輪の車軸間の距離。短いほど一般に小回りしやすく、動きも機敏になります。ウェッジシェイプ=前方が低く、後方へ向かって高くなる「くさび形」の車体形状です。
ところが現在、我が家にはタイレルP34の未組立キットがあります。
しかも、もう1台増える可能性まで出てきました。
どうしてこうなった。
きっかけは、1977年当時物のタイレルP34
ストラトスを探している途中で、偶然見つけたのがタミヤの古いタイレルP34でした。1977年発売の、いわゆる当時物です。
用語メモ:当時物=最初の発売当時に製造・販売されたオリジナル品。復刻版=過去のモデルを、後年に再発売したものです。
写真を見た瞬間、「ああ、やっぱり格好いい」と思ってしまいました。
小さな前輪が4つ。後ろには巨大なリアタイヤ。低いノーズに青いボディ。今見ても、まったく普通ではありません。

前輪を4つにするという途方もない発想を、本当にF1へ持ち込んだマシン。レーシングカーとしての成績とは別に、約50年たった今も、名前を聞くだけで6輪の姿が浮かびます。完全に「記憶に勝ったクルマ」だと思います。
そして僕の中では、今でも絶対に「ティレル」ではありません。
タイレルです。
「復刻版ってあるの?」から始まった
当時物を眺めながら、ふと思いました。
「これ、復刻版ってないのかな?」
調べてみると、ありました。しかも一種類ではありません。
その中で見つけたのが、2000年発売の初回復刻版、タミヤ ITEM 49154 タイレルP34 シックスホイーラーです。1977年型のフルカウル姿を残しながら、中身はF103系をベースにした、ちゃんと走らせられる6輪シャーシ。
用語メモ:フルカウル=車体や機械部分を広く覆うボディ形状。F103系=タミヤの後輪駆動オンロードRCで使われたシャーシ設計の系統です。
「前の4輪は全部曲がるの?」「サスペンションはあるの?」と調べているうちに、気持ちはいつの間にか「これは走らせてみたい」へ変わっていました。
そして、未組立のITEM 49154を発見
すると今度は、中古市場にITEM 49154の未組立品が出てきました。しかもベアリングセット付き。ボディ、タイヤ、デカールの状態もよさそうで、スポーツチューンモーターまで入っています。
- 出品価格:26,000円
- クーポン適用:−1,000円
- PayPayポイント利用:−751pt
- カード支払額:24,249円
ここまで調べてしまうと危険です。「復刻版ってあるの?」だったはずなのに、「ゴムタイヤはまだ使える?」「スポンジタイヤに換装できる?」「サーボは何を使う?」「ESCはHobbywing 1060でいける?」と、完全に買った後の話をしていました。
用語メモ:サーボ=送信機の操作に合わせて前輪を動かす装置。ESC=モーターの回転数と前進・後退を電子制御する装置。「メカ」は、受信機・サーボ・ESCなど走行に必要な電子機器の総称です。
そして、買いました。



箱を開けたら、26年前とは思えない状態だった
届いた箱を開けてみると、想像していた以上にきれいでした。青と白のボディに目立つ黄ばみはなく、シャーシプレートにも写真で分かるようなサビや腐食は見当たりません。


RS-540スポーツチューンモーター、T053ベアリングセット、1700MP Ni-Cdバッテリーと専用充電器、純正ゴムタイヤまでそろっています。古いキットを開けたというより、時間ごと箱に残っていたような感覚でした。
用語メモ:RS-540=RCカーで広く使われるモーターの代表的なサイズ。スポーツチューンは標準型より高回転・高出力寄りです。ベアリング=車軸やギヤの回転抵抗を減らす部品。Ni-Cd=ニッケル・カドミウム充電池です。


「メカレスって何?」と聞いていた人間が
ラジコンを再開したばかりの頃、P34の出品を見ながら、「メカなしって何? これ、どうすれば走れるの?」と聞いていたことがあります。
それが今では、「Turbo Racingの受信機が余っている」「Hobbywing 1060もある」「サーボは手持ちのタミヤTSU-06が使えそう」と言っています。人間、数か月で変わるものです(笑)。
しかもITEM 49154の説明書を見ると、サーボの固定方法は、まさかの両面テープ。
そうそう。昔のラジコンってこれでした。2000年の復刻版でも、そこだけ妙に懐かしい。こういう細部までたまりません。
純正ゴムタイヤは保存、実走はスポンジタイヤ
キットには、当時の雰囲気を残す純正ゴムタイヤが付いています。ただし、これももう26年前のもの。せっかくきれいに残っているオリジナルを、舗装路で削ってしまうのはもったいない。
そこで実走用に、現行のスポンジタイヤと専用ホイールを購入しました。
用語メモ:スポンジタイヤ=発泡素材でできた走行用タイヤ。路面への追従性とグリップに優れる一方、走るほど摩耗します。
- 純正ゴムタイヤ=保存用
- スポンジタイヤ=走行用
古いRCをただ飾っておくのではなく、オリジナルの部品を残しながら、本当に走らせる。今の僕には、この楽しみ方がいちばん合っている気がします。
ところが、シェクター車ではなかった
ここで重大な問題に気づきました。僕はジョディ・シェクターが好きです。ところが今回買った1977年仕様は、シェクターのP34ではありません。
シェクターがP34をドライブしたのは1976年。そして1976年日本GP仕様が、これまたとんでもなく格好いい。
青いボディ、むき出しのエンジン、3号車。そして車体には「たいれる」。さらに「しぇくたぁ」。
こんなの反則でしょう。
気づけば、2台目の原価計算までしていた
さらに中古市場で、1976年日本GP仕様の完成済みポリカボディ(軽くて割れにくい、透明なポリカーボネート樹脂製ボディ)を発見しました。シェクターの3号車で、「たいれる」も「しぇくたぁ」も入っています。
別の出品には、後年型のP34用F103 Sixシャーシが12,800円。つまり、シャーシと日本GPボディを別々に買えば、プレミア価格になった日本GP仕様のキット一式より安く仕上がる可能性がある。
……というところまで計算してしまいました。
昨日、「あかん! とりあえず今買ったタイレルを走らせてからだ!」と言ったばかりなのに。
ストラトスはどこへ行った
ここで最初に戻ります。僕は何を探していたんでしたっけ。
そうです。ランチア・ストラトスです。
- ストラトスを探す
- タイレルP34の当時物を見る
- 復刻版を調べる
- ITEM 49154を買う
- スポンジタイヤを買う
- メカ構成を考える
- シェクターが好きだったことを思い出す
- 1976年日本GP仕様を調べる
- 2台目のタイレルの原価計算を始める
ストラトス、完全に6輪に轢かれました。
でも、こういう脱線が楽しい
合理的に考えれば、欲しいものを決めて、必要なものだけ買えばいい。でも趣味って、たぶんそういうものではないんですよね。
調べている途中で昔の記憶がよみがえる。知らなかったものを見つける。「これ何だろう?」と調べる。そこからまた別のものが気になって、最初の予定とはまったく違うところへ行ってしまう。
でも、それがものすごく楽しい。
大人になると、仕事でも家庭でも、予定どおりに進めることを求められる場面が増えます。だからこそ趣味くらい、予定外の方向へ全力で脱線してもいい。
ストラトスを探していたのに、タイレルP34を買ってしまった。そして下手をすると、もう1台タイレルが増えるかもしれない。
ただし、まずは届いたITEM 49154を完成させます。そして6輪が本当に曲がり、走る姿を自分の目で見る。次回は組み立てから実走まで、きちんと記録するつもりです。
……1976年日本GPボディのオークションが終わるまでは、なるべく見ないようにしながら。
